金融・景気指標の読み方/その2

◆信頼性の低い指標
・信頼性を規定する要因はいろいろである
・しばしば速報値が修正される場合
・統計技術的な問題、etc
○マスコミで大きく取り上げられる割には誤解を招きやすい六つの指標
1.小売売上高、修正幅と修正回数で群を抜いている
2.耐久財受注、景気変動に必ずしも連動しない大型受注が含まれる
3.NAPM景気総合指数、経済動向との連動性にバラツキがある
・これは大手メーカー250社の購買担当管理者に対するアンケート調査
・現在、これに代わる調査はISM指数、及びシカゴ購買部指数に該当するか
・連動性のバラツキは改善されたかどうか、これは注目点
4.失業率、新規失業保険受給申請件数とは区別すべきで、後者が先行指数とすれば、
前者は遅行指数と見るべき
5.企業利潤、回復から上昇への移行期の判断には役立つが、タイムラグが大きい
6.消費者意識調査、遅行指標と見るべき

◆ライフ・サイクルと指標との関連
○回復期
・転換は住宅市場の底入れ、これが底入れするまでは本格的「回復」はない
・「回復」への最初の兆候は、新規失業保険受給申請の落ち込みに現れる
・「回復」のごく初期に、求人広告指数が上向く
・企業利潤は「回復」後期に初めて現れる
○上昇期
・回復期の指標は引き続きプラスに
・新たに企業設備投資の指標が加わる
・この段階のキーポイントは「成熟」期への移行の最初の兆候をつかむこと
・製造業平均労働日数の減少に現れる、3-6ヶ月の中期的傾向が重要
・非農業部門雇用者数の増加傾向の減速は「上昇」期の衰え
○成熟期
・最初の兆候は住宅市場の下降
・「成熟」中期には、求人広告指数の下降傾向が表れる
○軟化期
・一年程度先行して総合景気先行指数が下降にむかう
・これとほぼ同時か、やや遅れて新規失業保険受給申請者数が急増する
・成熟から軟化への移行の鍵は、鉱工業生産の持続的な大幅の減少
○下降期
・重要なポイントは、回復への最初の兆候をつかむこと
・最初の兆候は、製造業平均労働日数の増加にでる
・九ヶ月くらい先行して現れる
・総合景気先行指数の好転も、回復への兆候である
・より信頼性の高い指標は、新規失業保険申請件数の低下で、「下降」末期
・回復転換直後に、新規失業保険申請件数の低下と非農業部門雇用者数の増加が現れる

★以上の指標の、ほぼ全部はDaiki Futures、Inc.の「米国経済指標レポート」で参照
出来る。「米国経済指標マップ」は、全体を視覚的に一覧できる点で便利、
また全ての資料が典拠元にリンク
★日本の景気動向指数の労働需要に関する指数は、先行系列に新規求人数(L3)、一致系列に
所定外労働時間指数(C5)、有効求人倍率(C11)、遅行系列に常用雇用指数(Lg2)及び完全失業率(Lg6)
等が採用されている。(参照