現代の「予防拘禁令」

08/02/04のNBonline/時流超流に
突然の「携帯官製不況」/有害サイト規制を義務化した総務省の拙速
と題する記事が載っている。

「災害時は携帯からのアクセスが中心になるはず。早急にアクセスできるようお願いしている
(埼玉県庁)。埼玉県が2007年11月に開設したサイト「埼玉県危機管理・災害情報」が思ぬ
“災害”に遭遇し、対応に苦慮している。

という書き出しで始まっている。

危機管理システムと「有害サイト規制サイト」の話が、どう関連するのだ?と思いきや、
・具体的に「有害サイト」を、どのように定義するか?
・定義された有害サイトを、技術的にどのように判定・抽出するか?
・抽出されたサイトへのアクセス制限を、技術的にどのように確立するか?
僕のような素人が、ちょっと考えただけでも、この位の問題点は五分間もあれば思いつく。


問題になったのは、

携帯キャリア(通信事業者)が未成年向けに提供している「有害サイトアクセス制限サービス
という名のフィルタリングサービス

だそうだ。要するに、対象をフィルタにかけて判定・抽出する
網目ですね。

iモード」や「Ezweb」など、携帯のネット接続サービスでコンテンツを閲覧する時にアクセスを
制限する機能のことで、今年1月中旬から2月1日までに、携帯キャリア各社はこのサービスの
加入対象を「希望者」から「未成年の契約者は原則加入」へと改定した。

その網目を、「エイ!面倒」とばかり投網をかけるように掛けてしまった。

ブログなどの書き込みを1つずつ監視する行為は検閲に当たるために、携帯キャリアはサイト
の良し悪しを個別に判断することを避け、「疑わしき分野」全体を制限対象とする基準を設定
した。その結果、有害サイトアクセス制限サービスを申し込んだ加入者が、有害ではないサイト
も見られなくなる珍現象が頻発している。

「疑わしきは罰せず」ではなく「疑わしきは罰する」と近代法の精神に真っ向勝負をかけて、
中世的法精神に後退したわけですな!!


その結果、どうなったか?

公式サイトでも「薬物」「アダルト」といった分野に加え、「出会い」の可能性のあるブログや
掲示板、SNSなどの双方向コミュニケーションサイトが制限対象になる。埼玉県の災害情報
サイトは楽天のブログサービスを利用しているため、アクセスできない。
勝手サイトの閲覧が可能なアクセス制限サービスのメニューも別途用意しているが、こちらも
危険思想に触れる可能性があるという判断から、政党や宗教などのサイトが一律でアクセス
禁止。現段階では、政権与党である自民党のサイトさえ閲覧できない

コンプライアンス不況」という言葉が巷で流行っているけれど、
これは不況を超えて、予防思想検閲・予防拘束・予防出版制限に、充分に該当する行為だ。
インターネットに係る皆さんは、この問題に充分に聞き耳を立て、注意を怠るべきではない。

治安維持法も、予防拘禁令も知らない「幸せな時代」に生きる人々は、
このサイト「治安維持法でも、ご覧ください。